海外長期滞在者が直面する、恐ろしい問題がある。
恐らく、海外滞在歴が2ヶ月を過ぎると、多くの人が思い悩むであろう問題。
ヨーロッパの方は知らないが、アジア各国では、この問題に悩まされる人は多いだろう。
その問題とは、『伸びてきた髪をどうするか問題』だ。
「なんだそんな問題か、、、。」
と思った方は恐らく、日本の素晴らしい美容業界しか知らない方だろう。
言っておくが、日本の美容師のレベルはかなり高い。
ちょっとその辺の美容室に入っても、それなりにおしゃれな髪型にしてもらえる国なんて、アジア各国探してもほとんどみつからないだろう。
そんな日本でしか生きていなければ、『伸びてきた髪をどうするか問題』で悩むことなんて、ほとんどない。
しかし、日本以外の国にいると、この問題が深刻な問題になってくる。
ところで、少し話は変わるが、僕は以前、美容師の知り合いと、美容師と理容師の違いについて話をしたことがある。
そのとき僕は、
「美容師はハサミを縦に入れて、理容師はハサミを横に入れる気がするんだけど。」
と言った。
すると、知人の美容師は、
「なかなかいい線いってますね。」
と答えた。
仮に、この基準で考えるなら、僕は日本以外で美容師というものを、ほとんど見たことがない。
以前、韓国で美容室に行ったときの話だ。
僕は韓国にも1年間住んでいたことがあるので、韓国でも『伸びてきた髪をどうするか問題』に直面した。
僕は、知り合いの韓国人に尋ねて、オススメの美容室を紹介してもらった。
僕は、知り合いの韓国人に連れられて、彼のオススメの美容室に入った。
僕はその美容室に入った瞬間、逃げ出したい気持ちになった。
そこで働く美容師さんの髪型が、ヘルメットみたいな髪型だったからだ。(ふかわりょう、バナナマン日村系)
一人で入った美容室であれば、速攻で出て行っただろうが、わざわざ連れてきてもらってる手前、出て行きづらい。
僕は、わずかな望みに託した。
あの美容師さんの、髪型のセンスは最悪だけど、腕は確かだということに。
僕は、ヘアカタログの中から、希望の髪型を選んで、ヘルメット頭の美容師さんにみせた。
ほんとはその髪型よりも、もっと短めに切ってほしかったが、あんまり大怪我したくなかったので、少し長めの髪型を選んだ。
ヘルメット頭の美容師さんは、そのヘアカタログの写真を見て、ふんふんと首を縦に振った。
そして、そのヘアカタログを閉じた。
『え?閉じたよ。
今の一瞬で覚えたってこと?
まじで?大丈夫?!』
僕はかなり不安になってきた。
ヘルメット頭の美容師さんは、シュッシュッと、僕の髪に霧吹きをした。
そして次の瞬間、前髪をバッサリと一直線に横に切り始めた。
『お~~~い!!
絶対違うだろ、これ?!』
鏡に映った僕の顔が、一気に絶望感に覆われていった。
それでも僕は、まだわずかな望みを持っていた。
『言うたってこの人はプロだ。
ここからプロの実力を発揮して、最後には見事に仕上げてくれるはずだ。。』
カットの途中でシャンプーをしてもらった。
シャンプーした髪を、ドライヤーで乾かすと、
『あれ?
意外とこの髪型悪くないぞ!』
みたいになることも結構ある。
そうなることを期待して、髪を乾かしてもらったが、、
『う~~ん、どう考えても合格点とはいえない。。
まあ待て、ここからだ。
ここから最後の仕上げで見事に修正してくれるはずだ。』
そう期待していた次の瞬間、、、
ヘルメット頭の美容師さんは、さらに前髪を一直線に切り始めた。
『お、おわった、、、。』
僕の期待は淡くも崩れ去った。
結局、そのヘルメット頭の美容師さんは、最後までヘアカタログを確認することなく、僕の髪型を、見事にソフトヘルメットスタイルに仕上げてくれた。
それから1ヶ月間、出かけるときには必ず、帽子をかぶり続けたのは言うまでもない。
僕は、あの経験があるから、基本的に日本人以外の美容師をあまり信用していない。
その後、台湾にも1年半住んだが、台湾では、美容師の友人に切ってもらったり、日本人の美容師さんのいる美容室で切ってもらったりしていた。
さて、そんな深刻な『伸びてきた髪をどうするか問題』なのだが、日本を発って3ヶ月。
遂にインドでこの問題に直面するときがやってきた。
アジアの中では、比較的日本と似たセンスを持っている韓国ですら、あのレベルだった。
それがインドともなると、一体どんなことになってしまうのか、、、。
想像するだけでも恐ろしい。
だが、そろそろ行かなければならない。
どうしよう、、、。
僕は中々決心がつかず、思い悩んでいた。
続く