今回は、インドの旅先で知り合った日本人の女の子の、行方不明騒ぎの件について書いていこう。
僕がまだ、インドの英語学校に通っていた頃の話だ。(今は学校辞めたのでインドでニートをしている)
僕は、同じ英語学校に通う日本人の友達と、週末ごとに泊まりがけの旅に出かけていた。
僕たちはそのとき、ハンピという街に行った。
ハンピは、巨石と遺跡が有名な所で、のどかな田舎の雰囲気と、雄大な景色を楽しむことが出来る。
また、2年間掛けて世界一周した友人に、
「インドでオススメの所はないか?」
と尋ねたときに、
「ここだけは絶対に行った方がいい。」
と言われた場所でもある。
ハンピは、僕たちの英語学校があるバンガロールから、バスで8時間くらいで行くことが出来る。
僕たちは、週末を満喫するため、金曜日の夜行バスに乗って、ハンピへ向かった。
土曜日の早朝、ハンピに着いた僕たちは、眠い目をこすりながら、寝台バスから降りた。
僕たちは、男2人、女1人の、日本人3人で遊びに来ていた。
すると、バスからもう一人、日本人の女の子が降りて来た。
僕たちは、お互い宿も決めてなかったので、どうせなら同じ宿に泊まって、土日の2日間一緒に観光しよう、ということになった。
で、僕たち3人は、日曜の夜行バスでバンガロールへ帰った。
一方、その女の子は、これからあと2週間くらいインドを旅する予定だったので、一人ハンピに残った。
僕たちは次の週末、マイソールという街に遊びにいく予定だったので、次の土曜日にマイソールで待ち合わせをして別れた。
それから5日後。
その子のFacebookが大騒ぎになっていた。
その子のお母さんが、
「○○日から娘と連絡が取れません。
情報をお持ちの方はお知らせください。」
と書き込んでいたからだ。
日付を確認すると、ちょうど僕たちと別れた日から、連絡が途絶えていたのだ。
聞く所によると、もうすでに大使館にも連絡を入れたらしい。
とは言っても、大使館がすぐに何か動いてくれるわけではない。
見た感じ、その子のお母さんはかなり心配性な感じだったので、多少なりとも安心させるような手を打たなければならなかった。
とりあえず、ハンピで一緒に泊まっていた宿に確認した所、その子は月曜にはハンピを旅立ち、次の街に行ってしまったらしい。
ハンピで話していたとき、次に向かう所は確か、ゴアという街だと言っていた。
また、彼女は『地球の歩き方』というガイドブックを持っていたので、
「その本に載っているゴアの街のホテル全てに、連絡を取ってみてはどうか。」
と彼女のお母さんに提案した。
まあ僕たちに出来るのは、それくらいしかない。
あとは約束通り、土曜日にマイソールに行くだけだ。
だいたい、インドを旅してたら、5日間くらい音信不通になることはよくある。
Wi-Fi環境の整ってるホテルを探すのは、中々難しいことなのだ。
それに、一人旅にも慣れてる子だったので、そんなに心配することもないだろう。
と、思う反面、少し気がかりなこともあった。
調べてみると、そのゴアという街は、外国人女性のレイプ被害が多発している所だった。
さらに、外国人女性のレイプ殺害事件なんかでも報道されたことのある街だった。
僕は少し、嫌な予感がした。
しかし、連絡が取れないのではどうすることも出来ないので、僕たちは次の日の土曜日、約束通りマイソールという街に向かった。
マイソールについてすぐに、宿を探したが、やはりWi-Fiが使えてそこそこ安い宿というのは、中々見つからない。
多くの宿は、Wi-Fiがついてない。
Wi-Fiがある所は、やたらいい値段。
僕たちは、何軒も何軒も探しまわって、ようやくWi-Fi環境のあるホテルに辿り着いた。
そこで、Wi-Fiに繋げてみると、その子から連絡が入っていた。
「今、マイソールのネットカフェにいます。」
と。
僕たちは、ほっと一安心した。
なぜ連絡が途絶えたのか聞いてみたところ、やはりWi-Fi環境にありつけなかっただけだったらしい。
『まあそりゃそうだよね、インドだしね、、。』
その日、久しぶりにネットに繋いだら、自分のFacebookが大変な騒ぎになっていて、半日ほど色んな人達への連絡に追われていたらしい。
聞いたところ、その子のお母さんは、実家に一緒に住んでても、毎日メールを送ってくるほどの心配性らしい。
そんなお母さんに、5日間も連絡とらなかったらそりゃ、ああなるわな。
自業自得だよ。
これが、インドの旅先で知り合った日本人の女の子の、行方不明騒ぎの話だ。
まあこのときは、結果的に無事だったからよかった。
が、無事じゃない場合もあるのだから、気をつけておかなければならない。
これを言ってしまうと、インドに行きたい女性が一気に減ってしまうかもしれないが、一応情報として言っておこう。
インドはレイプ大国だ。
聞いたところによると、22分に1件のペースで、性犯罪が起こっているらしい。
また、仮にレイプで捕まったとしても、千円くらい払えば許してもらえる、という話すら聞いたことがある。
これが嘘か本当かは分からない。
が、わりと現実味のある話だと思える。
というのも、インドはカースト社会であり、男尊女卑社会だ。
そんなインドにおいても、レイプは当然犯罪なのだが、支配者カーストの男性が、被支配者カーストの女性をレイプしても、問題にされない場合が多いのだそうだ。
また、女性が権利を求めるような行動をしていると判断された場合、社会的制裁として、レイプが許可されるという風潮すらあるらしい。
なので、インドでは女性が暴行を受けていたとしても、見て見ぬふりされることが多い。
また、警察も取り扱ってくれないことが多い、ということだ。
僕は今、インドでわりとのどかな生活を送っている。
が、インドにはこんな一面もあるのだということだけは、情報として伝えておく。
僕たち旅人は、一般的に危険と言われている国や地域に、わりと平気な顔をして入っていく。
そんなところに入っていっても、ちっとも危険な目に合わない人と、よく危険な思いをする人がいる。
危険な目に合わない人は、危険の少ない道を選ぶ確率が高い。
よく危険な目に合う人は、危険の多い道を選ぶ確率が高い。
危険な目に合わない人は、意識的にか無意識的にか、危険の少ない道を選択しているのだ。
この世界には、危険な国と、安全な国があるのではない。
どの国にも、安全な瞬間があり、危険になる瞬間があるのだ。
昼間はのどかな所でも、夜になると危険になる瞬間が訪れる場所がある。
そんな、危険になる瞬間に、出来るだけ立ち会わないようにする。
そういう意識や感覚を持っている人は、危険と言われる地域に行っても、あまり危険な目には遭わない。
逆に、そういう意識や感覚が全くない人は、どこに行っても危険な目に遭遇してしまう。
旅人なんて、みんなチャランポランで、一見何も考えてなさそうな人が多い。
そんな旅人達のマネをして、ほんとに何も考えずに、危険な地域にズンズン入って行ってしまう旅の初心者達がいる。
が、危険な地域にズンズン入って行って、ちゃんと無事に帰ってくるような旅人は、ある程度危機意識を持っているのだ、ということを理解しておく必要がある。
まあ、そういう危機意識ってのは、実際に痛い目にあってみないと育たない、ってのも事実なんだけどね。
でも少なくとも、ここまで読んだ方には、あらかじめ危機意識を持って旅に出てもらいたい。
ちなみに、僕が意識していることは、全てを確率的に考えるということだ。
この道を選ぶと、1%以上の確率で危険な目に遭いそうだ。
そんな道を100回選んだら、いずれ危険な目に遭遇してしまう。
なので、1%以上の確率で危険な目に遭いそうな道は、極力避けるようにする。
まあ、
「そんなこというくらいだったら、最初っから旅なんかすんなよ。」
って声も聞こえて来そうだけど、それはまた別の話だ。苦笑
いや寧ろ同じ話だ。
僕の場合、旅に出なかったら、精神が不安定になって、発狂しそうになるので、それはそれで危険度が高いのだ。
そういう視点で見ると、危険と言われる地域を旅してる方が、寧ろ確率的に安全だと言える。
まあこんな風に、道を選ぶときに、危険度を確率的に考えながら行動して来たおかげで、幸い今まで、本当に危険な目にはまだ遭ったことがない。
(ぼくったくられたり、パソコン盗まれそうになったりとか、小さい危険は何度も経験したけどね)
ってことで、今日の最後に言いたいこと。
「あそこは危険だ」
と言われているからと言って、無条件にそこを避けるのはもったいない。
なぜなら、危険な所があるのではなく、危険になる瞬間があるだけだからだ。
その瞬間を避けるようにすれば、意外と危険でない所も多い。
ただ、旅をするときは、常に危機意識を持った上で旅をしてほしい。
旅が不幸な思い出にならないように。