海外に行くと、びっくりするようなことがたくさんある。
僕が、インドに来た当初は、驚きの連続だった。

都会のアスファルトの上を牛が歩いてたり、列車の地べたや荷物棚に人が寝てたり。
そんな光景を見るだけで、驚いていたものだ。

しかし、インドに住んで1ヶ月以上経つと、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなる。
もう、驚きが一周してしまった感じだ。

そして、インドの日常的な光景を、冷静に眺めれるようになってくると、今まで気づかなかった日本とインドの違いに気づき出し、もう一段深い驚きを発見するようになる。
今回は、僕が最近気づいた、日本とインドの驚くべき違いについて書いていこう。

今回僕が語る、日本とインドの違い、それは道路だ。

僕は今、インドのバンガロールという都市の、住宅街に住んでいる。
今日、その住宅街を歩いていたときに、ふと気づいた。

『インドって、やたらと路上駐車が多いよな。』
夕方の住宅街の道路を歩くと、ほとんどの家の前に車が停まっている。

車は、左右両側の家の前に停められているので、それだけで道幅が、本来の半分くらいになってしまっている。
それぞれの家の敷地内に、車を停めるスペースが、ないわけではない。

一応、各家の門の中に、車一台分停めれるだけのスペースはつくってある。
しかし、いちいち門を開けて出し入れするのが面倒なのだろう。
車は、各家の門の前に、路上駐車の状態で停められている。

これだけ多くの車が路上駐車しているのだから、恐らくこの辺りの道路では、駐車違反で取り締まられることはないのだろう。

さて、またインドの住宅街の道路を歩いていて、ふと思った。
インドでは、やたらと道端で遊んでる人が多い。

僕の住んでる辺りで人気がある遊びは、クリケットとバドミントンだ。
夕方くらいになり始めると、住宅街の至る所でクリケットとバドミントンが行われている。

夕方は、帰宅する人達のバイクや車の量も増えるので、ちょっと危ないのだが、そこはあまり気にせずに皆遊んでいる。
たまにクリケットのボールが、バイクに乗ってる人の頭に当たったりするのだが、それもお互いあまり気にしてない感じだ。

さて、またまたこんなこともあった。
僕が住宅街の道路を歩いていたときだ。

いつも歩き慣れている道を歩いていたら、なんと道が行き止まりになっていた。
『あれ行き止まり?道間違えたかな??』

そう思って、脇の方を見てみると、人一人分通れるくらいの道が見えた。
その脇の道に入ってみると、中にはたくさんの椅子が並べられていた。

そうこれ、道路を塞いでいたのは、テントのようなもので、その中でパーティーが行われていたのだ。
僕は意味が分からず、その辺の人に、
「何やってるんですか、これ?」
と尋ねると、
「これは結婚式だ。」
と言われた。

なんとインドでは、一般庶民の結婚式で、道路封鎖してしまうのだ。
『これってちゃんと許可とか取ってるんだろうか、、?
あまり取ってるようには思えない。。』

まあこんな風に、日本でやれば、即道路交通法違反になりそうなことが、インドでは平然と行われている。

『インドはこういうところ緩くていいよな~。
日本は厳しいからな~。』
僕はそう思った。

が、ふと思い直した。
『待てよ。
今インドと日本で比べて考えたけど、その比べ方でいいのか?』

よく思い出してみると、僕が子供の頃は、日本もまだ緩かったような気がする。

僕らが小学生の頃は、皆道端で野球とかやっていた。
家の前に路上駐車してても、ある程度平気だった。
道端で結婚式とはいかないまでも、新築の家が出来たら餅まきをやるので、近所の人達が30~40人集まってきて、軽く道路封鎖状態になっていた。

また、僕の地元は福岡なのだが、昔はもっと道端に屋台とかあった。
路上で怪しげなアクセサリーを売ってる人もいた。
それが今では、ほとんど無くなってしまった。

思えば昔、道路は民衆のものだった気がする。
それがいつの間にか、国のものになり、何をするにも許可を取らないと使えなくなってしまった。
ここ数十年の間に、日本の道路の使用権は、民衆から国家へ移ってしまったのだ。

例えて言うならこんな感じか。
お父さんが、
「家族皆で使おう。」
と言って買った車を、お母さんが主に買い物に使うようになり、いつの間にかお母さんの許可を取らないと、誰も使えなくなってしまった。

うん、こんな感じだ。

よくよく気をつけておかないと、家族間でもこういうことはよく起こる。
そして、国家と民衆の間でも、こういったことはよく起こっている。
気をつけておかないと、僕らはいつの間にか、色んな権利を奪われてしまっているかもしれない。

まだ、インドの道路においては、民衆の権利が比較的強い。
さて、これが30年後はどうなっているのだろうか?

30代で一度、60代でもう一度、世界一周してみたら、色んな変化が見えて来そうだ。