『インドの物価は本当に安いのか?』
ということを考えてみた。
いや、交通費とか、食費とか、家賃とか、そういったものは、日本と比べると明らかに安い。
それは間違いないんだけど、今回考えたのはそこじゃなくて、生活用品とかの値段。
まあ、例えば服を例にとって考えてみよう。
インドでも、東南アジアでも同じだけど、基本的に庶民の安い服は、店先に出して並べられてる。
その値段をみてみると、まあ確かに安い。
ふっかけられたりとかしなければ、300~400円くらいでTシャツ1枚買える。
一方、日本の安い店、例えば『しまむら』とかでTシャツを買えば、1枚500円くらいだ。
これだけみると、服もやっぱりインドの方が安いと思ってしまう。
しかし、ちょっと待ってほしい。
僕は、この比較の仕方に、どうしても不公平感を感じてしまう。
というのも、さっきも言ったが、インドや東南アジアの服屋に置かれている服は、基本的に半分外に置かれているのだ。
しかも、こちらの方は、日本に比べて、砂埃や排気ガスの煙がかなりひどい。
毎日、そんな過酷な環境に野ざらしにされている服。
果たしてこれを、『新品の服』と呼んでいいのだろうか?
じゃあここで、『新品の服とは一体何だ?』、ということを考えてみよう。
『新品の服』とは、生産者が封をしてから、一度も開封されていないものが新品なのだろうか?
いや、そんなことはない。
日本の服屋に置かれている服だって、基本的にはハンガーにかけられていたり、棚に置かれた状態になっていて、別に封をされている、というわけではない。
では、一度も他の人が袖を通したり、触ったりしていないものが新品なのだろうか?
いや、そんなこともない。
日本の服屋に置かれている服だって、大概誰かが試着してたり、選ぶときに触ったりしているものばかりだ。
少なくとも僕たちは、誰かが既に試着していたり、ベタベタと触っていたりするものも、『新品の服』と呼んでいる。
となると、『新品の服』というものを、言葉で定義することは難しい。
『新品の服』とは、もっと何か感覚的に定義付けした方がいい。
では仮に、生産者が作った時点で封をして、その封が一度も開けられていない状態のきれいさを、100点とする。
で、3年間くらい着て、少し黄ばんで来た白いTシャツのきれいさを、30点とする。
こうしたときに、日本の服屋で売られている『新品の服』のきれいさは、何点くらいだろうか?
これは、主観による所が大きいが、僕は95点以上、という点数をつけた。
安い服しか売ってないような店でも、日本の服屋であれば、それくらいの品質管理をしていると言える。
逆に、95点に満たないような品質管理のものは、日本の厳しい消費者達から、見向きもされないだろう。
その程度の品質管理しか出来ていないものは、日本では売れ残ってしまう。
ということは、僕たち日本人の感覚からすると、大体95点以上のものを『新品の服』とみなしていることになる。
では、インドや東南アジアの服屋に並んでいる服のきれいさは、何点くらいだろうか?
これも僕の主観だが、大体50点~80点くらいのものが多いと思う。
下手したら、30点以下のものも平気で並んでいる。
これを考えると、日本の『しまむら』とかに並んでいる500円のTシャツと、インドや東南アジアの服屋に並んでいる300~400円のTシャツを、同じ天秤で計ること自体が、間違っているということがお分かり頂けるだろう。
『インドや東南アジアの服屋に並んでいる服は、そもそも古着なんだ』
と考えなければ、不公平になってしまう。
以上のことを踏まえると、最も安く『新品の服』を買おうと思うなら、日本で買うのが最も安い、ということになる。
ってことで、生活用品に関しては、インドの方が日本よりも安いとは、一概に言えない。
そして、日本人の言う『新品』の品質のものを求めるのであれば、そもそも日本にしかあまり売られていない。
これが僕が、今までアジア各国を旅して得た、現在の見解だ。