100ルピー札って、何ルピーの価値があると思いますか?
「は?何言ってんの?
100ルピー札は、100ルピーの価値があるに決まってんだろ?!」
と、思った方は、まだインドの常識を知らない。
日本人の多くは、100円玉には100円の価値があり、1000円札には1000円の価値があると思っている。
まあ、これは確かにそうだ。
しかし、それが当たり前だと思ってはいけない。
100円玉には100円の価値があり、1000円札には1000円の価値がある、というのは、その貨幣がほとんどの場合使用可能だ、という前提の上に成り立っている。
しかし、その前提が崩れている国がある。
それがインドだ。
インドのお店には、とにかくお釣りがない。
60ルピーのものを買おうとして、100ルピー札を出すと、
「お釣りがないからダメだ。」
と言われることがよくある。
もしそのとき、細かいお金を持っていなければ、40ルピー分無駄な買い物をするか、釣りなんてくれてやるか、そもそも買うのを諦めるかしかなくなる。
一度そういう経験をした消費者は、出来るだけ多く、細かいお金を持ちたいと思うようになる。
そのため、出来るだけ多くのお釣りをもらおうと、少し大きめの金額を出すようになる。
そうすると、店側がさらに釣り銭不足になる。
店側が釣り銭不足になってしまうと、機会損失を被る可能性が増えるので、店側も出来るだけ消費者から細かいお金を取ろうとするようになる。
このように、インドでは日々、販売者と消費者が、細かい貨幣を奪い合って暮らしているのだ。
さて、そんなインドで、果たして100ルピー札は、100ルピーの価値があると言えるのだろうか?(100ルピー=170円くらい)
•リキシャで90ルピー請求されて、100ルピー札を出したら、
「釣りがない。」と言われて、10ルピーチップとして持っていかれたことがある。
•お店で75ルピーの買い物をして、100ルピー札を出したら、20ルピー札とあめ玉一つ返って来たことがある。(このあめ玉が5ルピーの価値ってことか、、?)
•20ルピーの買い物をしようとして、100ルピー札出したら、門前払いされたこともある。
こういったことをひっくるめて考えると、100ルピー札は恐らく、97ルピー分くらいの価値しかないのではないだろうか。
というのが僕の感覚だ。
100ルピー札でこれなんだから、1000ルピー札(約1700円)なんて、もっと価値は落ちる。
インドの安い食堂でご飯を食べようとすれば、一食大体40ルピーとかで十分お腹いっぱいになる。
そんなお店で、1000ルピー札なんて出そうものなら、確実に店員から白い目をされる。
「そんな金しか持ってねえ奴は客じゃねえ!」
とさえ言われかねない。苦笑
もし仮に、財布の中に1000ルピー札だけしか入っていなかったら、
『釣りなんて全部くれてやるよ』
というくらいの、太っ腹な態度でいなければ生活出来ないだろう。
ってことで、今回の結論。
インドの100ルピー札には、100ルピーの価値はない。
(多分97ルピーくらい)
■おまけ
ちなみに、タイでは逆に、やたらと小銭が増えていく、という経験をした。
タイ人は一般的に算数が苦手なのか、例えば125バーツのものを買うときに、525バーツを渡すと、25バーツはそのまま放置され、500バーツ札のお釣り、375バーツを返してくる。
なので、中々小銭を消化することが出来ず、困ったことを覚えている。
その点、さすがは数学大国インドなのか、こちらではしっかりと端数を受け取ってくれる。
まあ、多分小銭争奪戦のためだと思うけど、、。